この記事を読んでいるあなたは、
- 仮想通貨にかかる税金の税金の計算方法は?
- 仮想通貨にかかる税金の確定申告をしたい
- 仮想通貨の節税対策を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
この記事では「仮想通貨にかかる税金の計算方法や確定申告、節税対策や注意点」などについてお伝えしていきます。
仮想通貨にかかる税金とは
仮想通貨にかかる税金の詳細は、以下の通りです。
- 仮想通貨の税金は総合課税
- 累進課税方式で収める税金が決定
それぞれ解説していきます。
仮想通貨の税金は総合課税
仮想通貨の取引で発生した利益は、各種の所得金額を合計して所得税額を計算する総合課税になります。
総合課税の課税対象は以下の通りで、仮想通貨の利益は(8)の雑所得に分類されます。
- (1)利子所得(源泉分離課税とされるものを除く)
- (2)配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したものを除く)
- (3)不動産所得
- (4)事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く)
- (5)給与所得
- (6)譲渡所得(土地・建物等および株式等の譲渡による譲渡所得を除く)
- (7)一時所得(源泉分離課税とされるものを除く)
- (8)雑所得(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く)
仮想通貨の売買などで20万円以上の利益が出た場合に、その利益に対して所得税が発生します。
ただし、学生や主婦など、扶養の対象になっている人については条件が異なり、33万円以上の利益が出た場合に発生します。
累進課税方式で収める税金が決定
仮想通貨の税金額は、累進課税方式で決定されます。
累進課税方式とは、収入が上がるほど税率が上昇し、課税額が高くなる制度です。
所得額が4,000万円以上になると、最大税率は45%、住民税も含めると最大で55%の税金が課せられます。
一方で、雑所得でも株式投資やFX(外国為替証拠金取引)を通じて得た利益は、「分離課税」となるため、税率は一律20.315%になります。
所得税の税率は、以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
仮想通貨取引で納税の対象になるケース
仮想通貨取引で税金が生じるケースは、以下の場合です。
- 仮想通貨を使って買い物したとき
- 仮想通貨を売却したとき
- 仮想通貨を他の仮想通貨へ交換したとき
- 仮想通貨取引のマイニング(承認作業)への報酬
株式投資などでは、株の売買によって生じた利益が課税の対象になります。
仮想通貨の場合も株式投資と同様に、売買で発生した差益が課税対象です。
加えて、特定の仮想通貨を購入した後に、仮想通貨の価格が上昇した状態で商品購入の決済、他の仮想通貨への交換などで出た利益も課税対象になります。
また、仮想通貨は不正を防ぐためにユーザー同士で承認し合うシステムになっている特徴があります。
承認作業をマイニングと言い、マイニングを行った人は作業の報酬として暗号資産を受け取り可能です。
マイニングで受け取った暗号資産も課税対象で、取得時の時価からマイニング作業にかかった費用を差し引いた金額が利益とみなされます。
仮想通貨にかかる税金の計算方法
仮想通貨に大して発生する税金の計算方法は、以下の条件によって異なります。
- 売却益が20万円以上の場合
- 仮想通貨を決済手段として利用した場合
- 他の仮想通貨を保有している仮想通貨で購入した場合
- マイニング等で仮想通貨を獲得した場合
1つずつ解説していきます。
売却益が20万円以上の場合
仮想通貨の取引等で年間20万円以上の利益が出た際は、移動平均法か総平均法のいずれかの方法で所得を計算します。
移動平均法は、仮想通貨を購入する際に、都度購入金額と残高の平均値を出して所得を計算する方法です。
一方で総平均法は、年間で購入した暗号資産の平均レートを元に総購入金額と、売却金額の差額分を所得として算出する方法です。
1度決めると翌年以降も同じ方法で計算する必要があるため、いずれかのやりやすい方法を選んで計算をしましょう。
なお、仮想通貨の売却時に発生する利益は、売却時の価格×(売却枚数-購入時の価格)×購入枚数で求められます。
仮想通貨を決済手段として利用した場合
仮想通貨を決済手段として利用して、購入時の価格よりも差益が生じるケースも税金が発生します。
購入時の価格に比べて決済時にどれだけ高くなったかの差分を計算し、そのときに出た利益分が課税対象です。
計算式は、商品価格−仮想通貨の取得時の価格(取得価額÷取得数量)×支払った仮想通貨の数量となります。
他の仮想通貨を保有している仮想通貨で購入した場合
ビットコインをイーサリアムに交換するなど、保有している仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合も税金が発生します。
商品購入時の仮想通貨による決済と同じように、購入した際の価格から暗号資産の価値が上がったタイミングで交換した際に生じる差益分が課税対象です。
計算式は、別の仮想通貨への交換金額−交換前の仮想通貨の取得時の価格×支払った数量となります。
現金化していなくとも、どの通貨でも交換により利益が生まれた場合は税金がかかると覚えておきましょう。
マイニング等で仮想通貨を獲得した場合
仮想通貨はマイニングの他にも、ステーキングやレンディング、エアドロップなどの方法で収益を獲得できます。
基本的にはそれぞれ、取得したタイミングで所得が発生したとみなされ、課税対象になります。
さらに、売却した際にも2度目の所得発生とみなされ、さらに課税対象になるため注意が必要です。
取得時の金額や売却時の金額は所得計算上の収入に加算され、マイニング等で発生した費用については、経費として差し引かれる形になります。
仮想通貨にかかる税金の納め方|確定申告の方法
仮想通貨にかかる税金を納めるまでの手順は、以下の4つのステップです。
- 年間取引報告書と暗号資産計算書を用意する
- 暗号資産計算書を作成する
- 郵送・電子申告で確定申告書を提出する
- 納税する
順を追って説明します。
年間取引報告書と暗号資産計算書を用意する
確定申告時の利益計算のために、年間取引報告書と暗号資産計算書の2点を準備します。
年間取引報告書については、利用している仮想通貨取引所に発行してもらえます。
年間取引報告書があれば、総平均法での利益の計算が容易になるため、交付されたらしっかりと保管しておきましょう。
暗号資産計算書を作成する
次に、暗号資産計算書を国税庁のホームページからダウンロードします。
ダウンロードしたデータを用いて、計算書の作成を進めます。
具体的な作成の流れは、以下の通りです。
- 1.年間取引報告書の記載項⽬を⼊⼒
- 2.暗号資産での決済を利用した場合は、必要事項を⼊⼒
- 3.前年末の残⾼がある場合は、年始残⾼に⼊⼒
- 4.売却価額・売却原価・所得⾦額が⾃動的に計算される
入力の際、先に用意した年間取引報告書を使えば、総平均法で利益計算がすぐにできます。
ただし、移動平均法を用いたい場合は、年間取引報告書は使えないため注意が必要です。
郵送・電子申告で確定申告書を提出する
暗号資産計算書を使って仮想通貨取引の利益計算ができたら、確定申告書を作成に進みます。
仮想通貨で生じた利益は、雑所得として分類します。
提出は入力した書類を郵送するか、e-taxを用いて電子申告も可能です。
確定申告は電子申告でスマートフォンからも簡単にできるようになっていますが、初めての人にはわかりづらい部分もあるため、各自治体の行う税理士の無料相談会に参加するのも良いでしょう。
納税する
納付期限は基本的に、確定申告と同様に翌年の2月16日〜3月15日に設定されるケースがほとんどです。
納付方法は税務署の窓口や金融機関での現金納付のほか、コンビニやインターネットから納付もできます。
土日祝日によって納付期限が前後する可能性もあるため、納税金額が判明した時点で速やかに納付するのが安心です。
仮想通貨の節税対策
仮想通貨の節税対策は、以下の通りです。
- 個人事業主になる
- 法人を設立する
- ふるさと納税を始める
それぞれ見ていきましょう。
個人事業主になる
個人事業主になって開業届を提出すると、青色申告ができるようになります。
青色申告なら65万円の所得控除ができるため、仮想通貨での利益が65万円以内なら税金がかかりません。
ただし、青色申告での控除をするには、仮想通貨の税区分は雑所得ではなく、事業所得として計上が必要になります。
事業所得として計上するには、事業として仮想通貨の取引を継続的に行っていると、税務署に認められないといけません。
判断基準は税務署によって異なる場合があるため、不安な場合は事前に相談しておいた方が良いでしょう。
法人を設立する
法人を設立すると、個人よりも所得税率が安く済みます。
個人の所得税率は住民税を含めて最大で55%程度までですが、法人であれば法人住民税を含めても最大33%程度です。
所得税率が55%になる見込みのある人は、法人を設立した方が節税になります。
ただし、法人を作ると給与を決めて会社の資金も残す必要が出てくるため、安易に資金移動ができなくなる点には注意が必要でしょう。
ふるさと納税を始める
ふるさと納税を活用すれば、納税した分が所得税や住民税が控除の対象となります。
直接的に税金は減りませんが、納税金額に応じて各自治体からリターンとして返礼品を受け取れるため、間接的に節税対策をしていると言えます。
所得金額によって控除の対象になる金額が変わってくるため、あらかじめシミュレーションしておくと良いでしょう。
仮想通貨の税金における注意点
仮想通貨の税金における注意点は、以下の通りです。
- 保有しているだけなら納税の対象にはならない
- 納税しないとペナルティが課せられるケースがある
- 損益通算はできない
順番に説明します。
保有しているだけなら納税の対象にはならない
仮想通貨で発生する税金はあくまで確定した利益が対象となるため、利益確定をせずに保有し続ければ税金を払う必要はないです。
そのため、税金対策として保有し続けるのも1つの手段といえます。
ただし、暗号資産は売買の他にも商品の購入時の決済利用や、他の暗号資産への交換でも利益が発生する可能性があるため注意が必要です。
納税しないとペナルティが課せられるケースがある
仮想通貨取引で20万円以上の利益が発生しているのにも関わらず、確定申告をしなかったり納税しなかったりした場合はペナルティが課せられます。
ペナルティが課せられると、本来納税する金額よりも多くの税金を徴収されるため注意が必要です。
具体的には、以下のようなケースで発生します。
- 無申告加算税:確定申告をしないと納付するべき税額の50万円までは15%、50万円以上になる分は20%の加算税が発生
- 過少申告加算税:申請した所得税が実際の金額より少ない場合、不足していた所得税に加えて、その所得税額に対して10%の過少申告加算税を徴収される
- 重加算税:悪質な偽装や隠ぺい行為が発覚した場合は納付できていない所得税額に対して、無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%が加算される
余計な税金を払わなくて済むように、20万円以上の利益が発生したら速やかに、正しく確定申告を済ませるようにしましょう。
損益通算はできない
損益通算とは、株式投資や不動産投資などで損失が出た場合に、他の利益から差し引きができる制度です。
例えば、株式投資で1年間のうちに得た100万円の利益と、50万円の損失を合算してその年の利益は50万円として計上ができます。
もし合計マイナスとなった場合、損失として確定申告しておけば、3年先まで繰り越せるため、翌年以降の利益分と相殺ができます。
しかし、仮想通貨の所得は原則として雑所得に該当するため、他の利益との損益通算ができません。
また、損失が発生した場合、繰越もできず翌年以降の利益との相殺もできないため注意しましょう。
仮想通貨の税金についてよくある質問
仮想通貨にかかる税金について、よくある質問を以下にまとめました。
- 仮想通貨の収益が20万円以上になると税金が発生する?
- 仮想通貨の税金の納税はばれる?
- 仮想通貨の税金の節税対策は?
1つずつ見ていきましょう。
仮想通貨の収益が20万円以上になると税金が発生する?
仮想通貨取引で得た収益は20万円を超えると、所得税の課税対象になります。
一方で、年間の利益が20万円以下で収まれば、所得税を支払う義務は生じません。
ただし、20万円以下の利益で課税対象外になるのは所得税のみで、住民税はかかるため注意が必要です。
仮想通貨の税金の納税はばれる?
仮想通貨取引で税金が発生した場合、住民税の通知で会社にばれる可能性があります。
確定申告の際に特別徴収を選択してしまうと、会社の給与所得に加えて仮想通貨で得た利益分の住民税も加算されて会社に通知が届き、ばれてしまうケースがあります。
もし会社にばれたくない場合は、確定申告の際に住民税の納付方法を『普通徴収』を選択しましょう。
仮想通貨の税金の節税対策は?
1番の税金対策は、仮想通貨取引での利益を20万円以下に収める方法です。
他にも個人事業主になり青色申告を行うか、法人設立などによる節税対策もありますが、仮想通貨取引が事業として認められる必要があるなどハードルは高いです。
ふるさと納税で返礼品を受け取り間接的に節税対策するのが、気楽に取り組める方法と言えるでしょう。
仮想通貨の税金や計算方法まとめ
この記事では、「仮想通貨にかかる税金の計算方法や確定申告、節税対策や注意点」について詳しく解説してきました。
仮想通貨取引は、新しい投資先として非常に注目されています。
一方で、正しく税金について理解しておかないと、思った以上に課税されたり、脱税のリスクも発生しかねません。
本格的に仮想通貨を運用する人はもちろん、試しに始めてみようと思う人も、しっかりと仮想通貨にかかる税金について学習し、節税対策をしながら正しい税金を納めるようにしましょう。